読んで字のごとくなのですが、鉄の素材の箇所を塗装する工事です。

鉄は加工がしやすく入手もしやすいため、建築ではよくマンションの外部階段やベランダの手摺りなどの他、住宅の雨戸、看板の支柱や車止めなど多くの箇所で使用されています。

一般的に外部で使用される鉄部の場合、５年ごとの塗装メンテナンスが必要とされています。
また建物が海の近くにある場合ですと、潮風に含まれる塩分の影響でサビが発生しやすく、さらに短い期間でメンテナンスが必要になる場合が多くなります。

いづれの場合も現物を手で触ってみた時にチョークの粉のようなものが手についたり、目で見てサビを発見したらそれが再塗装の時期の目安となりますので、１年に１回くらいの頻度でセルフチェックしてみることもおすすめですね。

鉄は水と空気に触れるとサビを発生させますので、塗料で鉄をコーティングして水と空気に直接触れさせないことが、鉄部塗装工事の目的になります。
見た目が新品に戻って気分が良いだけではないんですね。

またサビにはその周りを加速させてサビさせる特性がありますので、劣化が拡大する前の早めの処置が有効です。
そのまま放置してサビがひどくなると、鉄自体がもろくなることで欠けたり折れたりもしますので、特に外部階段やベランダの手摺りなどでは使用そのものが危険となります。

もし仮に交換工事が必要になった場合は、塗装工事に比べるとかなり工期や工事費の負担が大きくなりますので、適正な時期にまめに塗装工事をすることをおすすめします。
経済的に長持ちさせる為には塗装工事が最も有効な素材のひとつと言えますね。

サビによる鉄の劣化状況や古くなった塗膜の状態を確認します。

この時に「表面のサビや塗膜の劣化のみ」が確認できた場合には通常手順の塗装工事になります。
もしも「鉄自体の劣化が激しく強度や耐久性に問題がある」場合には、鉄工職人の出番となります。
劣化した部分を補強して補修したり、部分的にまたは全体を交換してからの塗装工事となります。

業界ではケレン作業と呼びますが、塗料を塗る前の下地処理を行います。
スポンジや紙やすりなどを使ってヤスリがけをして、現状の塗料が古くなって劣化した部分を削り落としたり、鉄のサビのデコボコを削り落としていく作業になります。

劣化して粉状になった塗料が残っていると、新しく塗った塗料が剝がれやすくなりますし、サビが残っていると再びサビが出やすくなります。
また、下地に大きなでこぼこが残っていると仕上げにもそのまま出てきますので、ケレン作業で下地を綺麗にならしておく必要があります。
同時に表面にわずかなキズを作り、新しい塗装を剥がれにくくする目的もあります。

機械や薬剤を使用する場合もありますが、多くの場合は職人の手作業で目と手で下地の状態を確認しながら進めていきます。

手も気も抜けない大変な作業ですが、鉄部塗装では最も大切な工程になります。

ケレン作業が終わると次に下塗りを行います。

サビは完全に取り除くことはできませんので、再発生を抑える効果のあるサビ止め塗料を最初に塗装します。
これには次に塗る仕上げの塗料が、下地から剝がれないようにする為の接着材のような役割もあります。

下塗りが乾いたら次に中塗りを行います。

仕上がりの色やツヤにむらが出ないように仕上げの塗料を通常２回塗りますが、その１回目の塗装です。

中塗りが乾いたら次に上塗りを行います。

仕上げの塗料での２回目の塗装です。
色やツヤにむらが出ないように、目でしっかりとチェックしながら塗装していきます。

塗りむらや塗料のたれが無く、綺麗に仕上がっているか確認して全工程が完了です。